追伸のようなもの。

昨日のライブの余韻と、Twitterで目にすることができた嬉しいお言葉に励まされ、
夜中のテンションでツイートしていたことの、転記と、補足。

追伸のようなもの。

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ayanaさんが覚えてくれていた前回のMCで話した、「足るを知る」について。
老子の言葉からの引用ですが、
足るを知る、というのはとても深くて。

ないものねだりせずに我慢しましょうという惨めな話ではなくて、
いまの自分に必要なものはすべて与えられている、という感覚の話。
英語で言うと、同じ「満足」を示す言葉でも、satisfiedとcontentの違い。

この老子の引用、ほんとはもっと前後に言葉があるのですが、
足るを知るについての部分は、この一行。
足るを知る者は富み、強(つと)めて行う者は志あり。

それでもさらに努力するひとは志がある、という一文も添えられているんですね。
生きていくために必要なものは、いますでにちゃんと揃っていることに気付けば豊かに生きられる。
その自分を全部使って、努力し続けることが大事なのだなあ、と。

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あたしは長らく、人を羨んでは、あのひとは音楽に愛されてていいなあ、と思っていたけど、
なんのなんの、
あたしが音楽に愛されていないのではなく、あたしが音楽を愛していないだけだったのだよな。

だから、音楽が楽しいとか、唄うのが好きとか、はじめから素直に言えるひとが羨ましくて仕方ない。

全日本あまのじゃく選手権代表のあたしが唯一、
やっと素直に好きと言えるようになった音楽は、ほんとにものすごい力があると思っているから、
目に見えるものしか信じられないような自分だけど、
音楽の神さまだけは、居たら良いなあと思っている。

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長らくの間、Cheri*として「応援してください」という言葉を極力使わないようにしている。
もしCheri*の音楽を少しでも「良いなあ」と思ってくださるのなら、
応援してください、じゃなくて、そばにいてください、と願っていて、
「With」という曲を作ったときにはすでにその想いだったわけだから、
そう考えると、もう18年ほど経つのか。
自分の信念が、びっくりするほど変わらないことに自分でも驚く。
あの当時、幼稚で未熟な自分なりに、頑張って考え抜いた答えだったのだと思うと、
ちょっと微笑ましく思えると同時に、
そのときの自分にちょっとだけ、感謝だ。
そういえばWithの歌詞に「Oh my Jesus」というのが出てくるけれど、
音楽の神さまが居たら良いなあと思っていたのも、今と変わらない(笑)

同じくMCでは言わないと決めている言葉がある。
「名前だけでも覚えて帰ってください」だ。
これはあたしの中だけのつまらないプライドであり、Cheri*にとっての大事な信念でもある。
作品を届けることが目標なので、
むしろあたしの名前なんて覚えなくていいから、
1曲でも、唄の1フレーズでも、そのひとの心に残って、それを持って帰ってもらえることこそが本望だ。
そのフレーズが、その言葉が、そのひとの人生を救うかもしれない。
もし本当にそうなったら、
その曲と生きた人生の最期には、Cheri*の曲を棺桶に一緒に入れて欲しいとさえ思っている。
それがあたしの究極の夢なのだ。
名前だけ覚えてもらっても意味がない。
音楽が残らなければ意味がない。
だからぜひ皆さん、ことCheri*に関しましては、
「誰の曲かわからないけど、あのときこういう曲に救われたんだよ」って、
そういう覚え方をしてやってください(笑)

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自分のことが嫌いすぎて、自分じゃないものになりたくて、それで「Cheri」を作った。
Cheriとして頑張ってる自分は人として理想的に思えた。
でもそれは本当の自分じゃなかったから、なんだかわからなくなった。
本気でCheriを辞めようとして休んでみたけど、
有難いことに、あたしの音楽人生は恵まれていたから、
自分の曲が誰かの大切なものになっていたことに気付かせてもらったし、
実は自分がちゃんと「Cheriになっていた」ことに気付かされた。
そして今度はCheriとして「Cheri*」をやっている。

だから、
今では一番嬉しい「褒め言葉」は、「唄に人間性が滲み出ている」かもしれない。
生き方・考え方が表れるような、
人間性・人格が滲み出ているような、
そんな唄を書きたいし、そんなライブがしたい。

単なる理想を語るだけのガキやけど、
不幸自慢じゃなくて、「音楽に救われた自慢」ならめっちゃ大声で言える気がするから(笑)

あたしはもしかすると、音楽自体を神さまみたいに思ってるのかもしれません(笑)

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死ぬまでにあと何曲書けるかな、って考え始めてからもう2年くらい経った。
うかうかしていられない。
ほんとはもっともっともっともっと作らなきゃって思う。
でも内容がぺらぺらになってしまっては意味がないから、
焦ったり、急いだり、絶対しない。

だって、

あたしは死ぬまでCheri*なんだろうなって、

もう知ってるから。

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